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猫のリンパ腫
今回は、縦隔型リンパ腫で治療をしているツヨポン君についてお話しします。
3才、和猫、オス
リンパ腫とは、血液の成分の1つであるリンパ球が癌化してしまう病気です。
縦隔型または胸部型、消化器型、多中心型、非分類型(眼、皮膚、脊髄神経など)に分類されます。
ツヨポン君は、体重が減り呼吸が苦しくて来院しました。
レントゲン検査、超音波検査で胸部にある胸腺リンパ節が腫れており、胸水が貯まっていることが分かりました。
胸水の中には癌化したリンパ球があり、縦隔型リンパ腫と診断しました。
リンパ腫は、治療を受けた方が、受けない猫よりはるかに生存期間が長いことが言われています。
ツヨポン君は、抗がん剤治療を行うことにしました。
最初は、1週間に1回の抗がん剤治療です。
お母さんと一緒に、診察室内で抗がん剤治療を受けています。
1週間に1回の抗がん剤を、症状がよくなってきたので少しずつ治療の期間を延ばし、今では1ヶ月に1回の定期検診までよくなりました。
レントゲン検査でも胸水が無くなり、通常の呼吸ができるようになりました。
完全寛解です。
完全寛解とは、再発の可能性はありますが、症状が消えて検査でも異常がない状態を言います。
ツヨポン君が治療を始めて2年半が経ちます。
ツヨポン君のお家は大家族です。たくさんの仲間達と今日も楽しく過ごしています。
猫のリンパ腫は、白血病ウイルス感染と関連して見られることが多くあります。
消化器型リンパ腫が最も多い病型で、高齢の猫で発症することが多く、縦隔型リンパ腫は、白血病ウイルス陽性の若い猫に多く発症します。
発症した病型により期間はさまざまですが、抗癌治療をしないより治療をすることによって生存期間を延ばすことが可能な病気です。
白血病ウイルス感染は、特に、外に行く猫ちゃんや多頭飼育のお家では、白血病ウイルスを蔓延させないようにワクチンの接種が重要になります。
ツヨポン君は、小さいときに保護されてすでに白血病に感染していました。おそらく、お母さん猫から生まれてすぐに感染したと思われます。
リンパ腫のすべてが白血病ウイルス感染に関連しているわけではありません。また、ツヨポン君のようにのら猫ちゃんを保護してくれた場合は防ぎようがありませんでした。
しかし、お家で管理している猫ちゃんには、予防できる病気はしっかり予防してあげたいですね。
ツヨポン君は、飼い主様の愛情と努力によって今元気に暮らすことができます。
ツヨポン君の運命を変えてくれたと言ってもよい、すばらしい飼い主様に出会ってくれたことをとてもうれしく思います。